シニアライフ徒然草

老人ホームや介護施設での事件・事故の抑止について

先日のニチイケアパレス社「ニチイホーム鷺ノ宮」の事件報道以降、様なメディアで高齢者施設における虐待について語られています。事件や事故が起こるたびに、同じような話題となりますが、老人ホームや介護施設などの、高齢者施設における虐待抑止策について考えてみたいと思います。

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過去の事件・事故

介護にかかわる施設の事故や事件は、ほぼ毎年何かしらの報道がされていたり、また報道にはならないような事故や事件などもあります。
少し記憶を辿ってみると、2009年3月群馬県渋川市北橘町の老人施設「静養ホームたまゆら」で起きた火災により入居者が死亡するという事件が起きました。

各報道マスコミ各社が積極的に介護施設に関する事件・事故について取り扱うようになったのは、「たまゆら」事件以降特に目立ってきているように感じます。

介護業界における事件といえば、大まかに2つのパターンに分かれます。
一つは介護事業を行う事業所による、介護保険の不正受給などの事業者側が制度を悪用した介護保険料の搾取にかかわる事件、そしてもう一つは介護サービス利用者に対する事故や事件です。

今回は、制度を悪用した事件ではなく、あくまでも介護サービス利用者が受けた被害における事故や事件について考えたいと思います。

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過去1年程に起きた事件や事故

各種報道機関から発表されたニュースも含め、日本全国で起きた事件や事故を時系列で記してみたいと思います。
※施設名や詳細は省いております。

・2017/1 死亡事故 人工呼吸器が停止して入所女性が死亡。
・2017/1 死亡事故 要介護5の認定を受けた女性入所者が入浴中に死亡。
・2017/1 虐待   入所者が包帯を外そうとしたことに対し、顔を殴った。
・2017/1 虐待   入居者の胸ぐらをつかんだなど暴行の疑い。
・2017/3 虐待   入居者を移動させる際に乱暴に扱い壁に頭をぶつけるなど。
・2017/3 パワハラ 社員に対してミスをした場合は辞職するとの誓約書を作らせた。
・2017/3 虐待   看護師が難病の入所者暴言を吐いた。
・2017/5 転落事故 ホーム敷地内で、入居者が倒れているのを発見。
・2017/5 殺人   何者かに首を絞められたことによる窒息死。
・2017/5 窃盗   現金2万円を盗んだ疑い。
・2017/5 窃盗   入所者のカードで現金を不正に引き出した。
・2017/6 窃盗   入所者のキャッシュカードを使い不正に現金を引き出し。
・2017/6 事故   送迎中衝突を避けるため急ブレーキをかけ事に起因し死亡。
・2017/6 窃盗   キャッシュカードなどを盗み現金を引き出した。
・2017/6 事故   送迎中同乗していた2名の高齢者が怪我をした。
・2017/6 事故   送迎中の事故により利用者が死亡。
・2017/7 殺人未遂 准看護師が睡眠導入剤を同僚に飲ませ殺害しようとした。
・2017/7 業務上過失致死 自動昇降リフトから車椅子ごと転落しその後死亡。
・2017/7 虐待   ナースコールを設置していない。
・2017/7 窃盗   利用者から現金を盗んだ。
・2017/7 殺人   入所者が死亡、同施設の住人が逮捕。
・2017/8 殺人?  入所者3人が相次いで死亡、別の入所者2人も怪我。
・2017/9 業務上過失 別の入居者への薬を投与、意識不明の重体で病院に搬送。
・2017/9 銃刀法違反 勤務先の介護施設で日本刀を所持。
・2017/9 窃盗   入所者のキャッシュカードを使い不正に現金を引き出し。
・2017/9 暴行傷害 同僚に有害な液体洗剤を混ぜて飲ませた。
・2017/10 窃盗   利用者のキャッシュカードを使い不正に現金を引き出し。

上記に記載したのは、あくまでもごく一部の事件や事故です。介護や老人ホームというキーワードに関する事件や事故は、顕在化しているもの以外に、事件や事故として表面化していないものは多数あると思われています。

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未だ記憶に新しい相模原の事件

2016年7月に発生した、神奈川県相模原市の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」での殺傷凶悪事件は、戦後最大の殺傷事件として大きく報道されました。余りにも凄惨過ぎる事件の為、1年以上前の事件にもかかわらず、皆様の記憶にも新しい事件だと思います。

年間に高齢者の介護にまつわる事件や事故は非常に多く、世間一般にマスコミで報道されている事件はごく一部です、しかし大事件ほど記憶に残るので、どうしても介護施設での大きな事件や事故はクローズアップされます。


労働集約型の介護

福祉事業や介護事業は労働集約型の産業であり、専門職のリアルな労働力によって成り立っています。ここ最近では、IoTやAI、ロボティクス等、新たなテクノロジーの介護現場への導入研究や、検証などが行われていますがまだまだ未成熟な分野です。

医療系・介護系等の専門職ではなく、一般のお仕事をされているサラリーマン等にも、最近はメンタルヘルスの重要性などが言われており、仕事や職場に対するストレスチェックが大企業などでは一般化しつつあります。

介護のお仕事や、医療現場でのお仕事は「人の命を預かる」「人の生活を預かる」という非常に大切で崇高なお仕事です。キレイゴトではなく「人」の表も裏も垣間見る事にもなります。そのような時にストレスが溜まった状態で職務を続けるとどのような事が起こるでしょう。
介護の現場で自ら働こうという意思をお持ちの方は、一般的なお仕事を選ばれる方と比較して、人に対して世話好きであったり、優しい心をお持ちであったり、比較的穏やかな性格をされている方が多いように感じます。

では何故、介護の現場で事故や事件が起こるのでしょうか。
性善説で考えると、元々人と接する事が好きで、優しい性格の持ち主でも、介護のお仕事において、様々な理由によりストレスが溜まります。心が穏やかで優しい性格の方が、ストレスを溜め込んでしまうと、自身でストレスを解消できなくなるケースがあります。
そのような中で、悩み苦しみながらお仕事をしている際に、何かしらの要因でストレスが爆発してしまう。そんなキッカケで事故や事件が起きるのではないかと思います。

だからといって、それが許される訳ではありません。介護のプロとしてお給料を貰い仕事をしている以上、絶対にあったはならない事なのです。

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慢性的な人員不足も大きな要因

介護における虐待は、介護職だけの問題ではありません。在宅介護における虐待には、ご家族による虐待もあります。身近な存在故に簡単に暴言を吐いてしまう、またそれを止める人も身近におらず、段々と虐待行為が酷くなり言葉の虐待から身体的虐待へ発展するケースもあります。

介護の現場においても、同様でおそらく初めから暴力行為などの身体的虐待では無いハズです。最初は思わず吐いてしまった暴言などから、段々と感覚が麻痺し身体的虐待へと繋がり、大きな事件に発展してしまう。そのようなケースが見受けられます。

介護職の世界は慢性的な人材不足と言われています、その大きな要因は業務の過酷さに比べ、平均賃金の安さが原因です。

介護保険の改正や改定の際、介護職員の処遇改善問題は必ず話題になりますが、処遇改善の名目で加算に改善されても、それは大きく給与に影響を及ぼす程ではありません、給与が安いから介護職のなり手が少ない、国の介護保険自体が慢性的な赤字に陥り、いくら国が一億総活躍社会、介護離職ゼロを唱えても、それはただの呪文でしかなく、具体的な解決には程遠いのが現状です。


介護事業者側の事故防止への取り組み

今回の事件が起きた「ニチイケアパレス」社では、職員に対するストレスチェックなど行われていたようですが、それでもこのような事件が発生しました。
過去に他社の運営会社で起きた事件などは、ある意味起こるべくして起きた事件という側面もあります。

事業の急速な拡大を図るあまり、新規の施設出店を急ぎ、人材の教育がおぼつかず、また管理監督においても現場への権限移譲というある種「逃げ道の口上」の中で、強引な出店で新規施設を加速度的に増やせば、間違いなくどこかで綻びを生じるのが特徴です。

そのため比較的堅実に介護事業を運営している、大手介護事業者は社員研修に〝力”を注いでいます。ニチイケアパレス社もその中の一つ、元々ニチイグループは教育関係事業も行っており、特にニチイケアパレス社ではニチイグループの中でも、比較的高価格帯の老人ホーム運営を行う事から、加速度的に無理な出店をするという事は行わず、人材育成と新規出店を堅実に行ってきた運営会社です。

しかしそれでも、このような事件が発生します。事件の容疑者年は2014年に新卒で入社しています。例えばこの容疑者が中途採用だった場合、もしかすると「介護職経験上、何かしらの心のストレスを感じている」と面接で見抜ける可能性もあります。しかしながら、新卒の採用については、全くの未知数からの採用になるので、実際どのように心が変化していくのか、予測するのはかなり困難です。しかしそれを言い訳にする事はできません、雇用した以上管理監督責任はもちろん、現場で起きる全ての責任は会社が負う事になります。

企業努力により、介護職員への処遇改善をしている企業もあれば、ロボットなどのテクノロジーを導入する事で、現場職員への仕事の負担を減らそうという取り組みもあります。


介護事業者だけではなく、抜本的な制度改革が必要

介護事業者の努力によって、改善される処遇などは、体力のある事業者と体力の無い事業者では雲泥の差が生じます。
安心・安全な介護サービスの提供する為の職場環境の改善は喫緊の課題であり、一企業が取り組むだけでは抜本的な改善にはなりません、国の制度改革も含めた大きな括りで取り組む必要があります。 介護保険料負担などの条件も変わらなければ、全ての介護事業の現場の改善にはならず、運営事業者、関連団体、消費者団体など、大きな枠組みで国の制度改革に取り組む必要があります。

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田中 宏信
「関東有料老人ホーム紹介ンター」を運営する(株)エイジプラス東京支社 支社長。自身の両親の介護経験を活かし、同じように在宅介護でお悩みをお持ちのご相談者向けに、老人ホーム選びのアドバイスやセミナーなども行っています。

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