シニアライフ徒然草

相模原障がい者施設 殺傷事件を考える

日本の高齢者施設を含む、社会福祉における施設は一般の方には余り馴染のない、見方によっては謎の存在かもしれません。2016年7月26日、神奈川県相模原市の障がい者施設で、元職員による入居者殺傷事件が発生しました。


容疑者は26歳、元職員

はじめに、今回の事件で何の罪もない多くの方々が、その大切な命を落とされた事に、心からお悔やみを申し上げます。

犯行を起こした植松 聖容疑者26歳は、以前は事件を起こした施設で働いていたという事で、2016年2月には衆議院議長公邸に「障がい者が安楽死できる世界を」「障害者総勢470人を抹殺することができる」というようなA4サイズのレポート用紙数枚にわたり綴った手紙を渡しています。

警視庁麹町署は、その日のうちに神奈川県津久井署に連絡し、保護入院措置をとっていたとニュースでは伝えられており、今後の捜査により事件の真相が明らかになると思います。


障害者施設の労働環境

厚生労働省の資料によると、平成26年度の障害者支援施設等の数は 5,951件、定員は197,867人と発表されています。

【障害者自立支援法】
平成18年9月29日厚生労働省令 第177号(平成25年11月22日改定 厚生労働省令第124号)を確認してみると。

第二章 設備及び運営に関する基準の第11条につらつらと書かれている、ここでは条文は割愛しますが、簡単に言うと
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施設長は1人
生活支援員は利用者の数が60人以下は1人以上、利用者の数が60人以上の場合、利用者の数が60を超えて40又はその端数を増すごとに1を加えた数以上となっています。
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今回事件が起きた障がい者施設は、入所定員が100名以上の比較的大きな施設(事件当日の入所者数は19~75歳の男女149人)で、かつ深夜における事件でした。
通常であっても多いとは言えない職員数の中で、夜間帯の職員が手薄になっている時間帯に、100人以上の入所者の安全を担保する事、まして外部から悪意を持った侵入者に対するリスクマネジメントなど、非常に困難なのは明白です。(事件当夜の職員配置は職員8人と非常勤の警備職員1人の計9人)
まして、元々その施設で働いていた職員が犯行を犯すのであるならば、施設職員のシフトも、裏口なども全て知っている事になりますから、計画的犯行に対しては、何らかの方法で未然に防ぐ以外、その場で防ぐのは難しいのではないでしょうか。


社会福祉事業の影

容疑者は元々、「障がい者に安楽死」「津久井やまゆり園」を名指し、職員の少ない夜に「障がい者施設で殺傷する」などというキーワードを発信しており、事件直前の数分前には、Facebookで投稿をしていたといいます。

入所者が就寝中、まして夜間の手薄な時間を狙っての凶行は決して許される事ではないのは言うまでもありませんが、この事件を少し俯瞰してみると、障害者福祉を含め、社会福祉事業に対する問題点が浮き彫りになるような気がします。

思いつくままに列挙すると
・施設従業員の雇用条件
・採用基準
・職場環境
・メンタルケア
などが挙げられるのではないでしょうか。

社会福祉事業に従事する方の多くは、介護なども含め、元々心の優しい方が多いと感じています。 介護施設などの虐待問題でも取り上げられますが、やはり職場環境が働く人たちの人格に大きく影響を与えるケースが見受けられます。
医療や介護に従事する方は、ストレス負荷の高い職業と言われ、医療従事者では5%程度の方が、うつ病などの精神的な障害があるといわれており、メンタルケアが必要になるケースがあると言われています。


介護・福祉人材確保の問題と職場環境が与える影響

社会福祉事業における、人材確保は十年以上問題視されている事柄であり、人材不足が労働環境を悪くし、ストレスを与える原因にもなります。
昨今唱えられる「チームビルディング」によるマネジメントなどは、その最もたる例で、チーム(仲間)の思いを一つにまとめ、目標に向かって進む組織づくりが言われますが、福祉・介護はチームケアが非常に重要だと言われています。

この事件は多くの被害者を出し、犯人が罪に問われるのは当然ではありますが、このような犯罪を作り出してしてしまう社会環境、制度等、様々な問題提起を考える必要があると思います。

田中 宏信
「関東有料老人ホーム紹介ンター」を運営する(株)エイジプラス東京支社 支社長。自身の両親の介護経験を活かし、同じように在宅介護でお悩みをお持ちのご相談者向けに、老人ホーム選びのアドバイスやセミナーなども行っています。
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