シニアライフ徒然草

悪徳商法に引っ掛かり夜逃げ寸前までに追い込まれた

高齢者を狙ったオレオレ詐欺(振り込め詐欺)などは、連日ニュースで話題になります。しかしながら法的にもスレスレの合法的悪徳商法と言われ、言葉巧みに高齢者や、若者を狙う詐欺まがいの悪質な販売も後を絶ちません。今回のケースは実際にあった次々商法をご紹介します。

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従妹からSOSが

もう数年前の話ですが、私の身内に起こった本当の話です。
親戚の法事で久しぶりに会った従妹から、少し母の事で相談があるから時間取ってくれないかと言われ、数日後改めて話を聞く事にしました。

その従妹は私の父の妹の長女で、母親は私の叔母に当たります。叔母は一人暮らしで年齢は当時75歳ぐらいだったと思います。
従妹は私と会うなり「母が悪徳業者に騙されて大変な事になっているから助けてほしい」と涙目で訴えてきました。どうも近所の人の勧めもあって羽毛布団や色んな物を買わされ、ローンが払えなくなって消費者金融からも借金を作ってしまっている様子です。
そしてその結果、生活苦で追い込まれているとの事でした。


80万円の羽毛布団購入から事は始まった

それから数日後に私は叔母と会い、今までのの経緯を詳しく聞きく事にしました。
最初に近所の親しい人の勧めで、ある訪問販売業者を紹介され、高額な羽毛布団を買った事が始まりでした。 羽毛布団を持っていない事や、親しい知人の紹介という事もあって、つい買ってしまったと言うのです。

悪質業者の常套手段とも言えますが、一度商品を購入してしまうと、その後は次々と違う商品を勧めてきます。毎回ためらいながらも「支払いは月1万円ですから」と言う言葉についつい購入を重ねてしまいます。
さすがに叔母も買い過ぎと感じたのでしょう。「もうこれ以上買っても返せないからもう結構です」ときっぱり業者に断り、その後業者は来なくなりました。


偶然を装った次なる刺客が

実は話はそれだけでは終わりません。

そのような事があった一年後、別の会社名を名乗る、若い社員が自宅に飛び込み訪問してきました。
叔母と話をする内に「お母さん、悪徳業者に騙されていますよ!たちの悪い業者ですから私が何とか話をつけてあげます。」と言っていかにも叔母を助ける様な話をしました。
叔母は「初めて会ったのに何て親切な青年なんだろう」と信じ切ってしまったのです。

そしてこの営業マンは度々叔母の自宅を訪れ、実の息子以上にやさしく「お母さんの顔を見たくなって来てしまいました。」とか「今、業者に話を進めているからもう少し待ってね。」と言って何度か訪問するうちに完全に叔母を信頼させてしまったのです。

そしてある日、「お母さん、業者との話は何とか順調に進んでいるので今後は支払いも楽になると思うので、私が扱っている商品の購入を検討してもらえませんか」と言って高額なアクセサリーを勧め買わせてしまうのです。


次々と商品購入を進める悪質業者

この手口は、次々商法の典型的な手法です。最初に商品を買わせた業者と同じグループで、過去の購入歴がわかった上で偶然を装って訪ねてきます。

とにかく、その後も何度か商品を購入してしまい、私が聞いた時点では総額400万円ぐらいになっていました。
そしてその商品はというと、高額な商品なので、何一つ使用せず押し入れに仕舞い込んでいました。正直、私が見た感じではとても価格に見合った高級品とは思えません。恐らく実質商品価値の10倍以上の価格で買わされていると思います。

私が一番驚いたのは、叔母は高額な商品を買って、生活苦になっているにもかかわらず、だまされたと思っていないという事でした。

私はこの話を聞いて、叔母も従妹も危機意識があまりにも薄い事がこうなった原因だと思いつつ、この巧妙な悪徳業者(合法詐欺)に対して煮えくり返る様な怒りを覚えました。
私はまず、叔母に「今後一切訪問事業者の商品を買わない」という約束と、今回の処理を私に任せてもらう承諾得て作業に取り掛かりました。

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叔母救出作戦開始

私はその後、叔母の債務・借金額を把握するため何度も叔母と会い、また信用情報機関での借り入れ状況の把握、弁護士との打ち合わせ等を定期的に行いました。

私の方針は二つあり、一つはこれらの商品購入契約を無効に出来ないかという事です。
まず、〝法外に高額な商品を高齢者をだますような手口”で売りつけた詐欺的契約に対し、契約を無効に出来ないか
また叔母は初期の認知症もあり、手が不自由で契約書に自筆で文字を書けない為、娘に代筆させたものもあったらしく、そもそも契約が有効であるのかという疑いです。
もう一つは消費者金融の取引歴がかなり古いので過払い請求が出来ないかという事です。


過払い請求と契約無効

弁護士は消費者金融の過払い請求は可能で、ある程度返還される額も想定出来るとの事でしたので、これは進めてもらうように依頼をしました。
商品購入の方は、契約を無効にする(詐欺を実証する)事はかなり難しいとの事でしたので、私が独自に動く事にしました。

早速最初の事業者に電話しましたが、予想通りすでに電話は使われていませんでした。 1年後に来た後の業者に電話すると電話に出ましたが、「弊社はあくまで合法的にご購入頂いただけで何の問題もありません」と言われ一旦引き下がります。


信販会社へ連絡

当然ですが、このような訪問販売で高額商品を売りつける場合、ほとんどがローンによる販売手法が行われます。
当然、叔母の場合も商品購入はすべて信販会社の割賦購入です。叔母の購入歴では2社の取引で、1社が250万円、もう1社が150万円でした。

250万円の取引をした信販会社に電話をしました。東証一部に上場している大手企業なので担当者は丁寧な対応でしたが、電話だったのと、私が甥と言う微妙な立場でしたので、なかなか確信の話が出来ずにいましたが、弁護士の名前まで明かすと、ガラッと担当者の対応が変わりました。

私からの質問は
「御社のような立派な上場企業が、何故こんな合法詐欺の様な会社と取引しているのか?」
「私の叔母が初期の認知症である事や契約書が直筆でないことを知っているのか?」
「高齢者にとって非常識な購入の頻度や高額な価格である事は認識していたのか?」

信販会社の回答はこれも予想通りで、「弊社ではこの販売会社が悪徳である事も、購入者の叔母様が初期の認知症である事も一切認識しておりません。」と言った通り一遍の回答です。


驚愕の事実が判明!!

そして信販会社の担当者の口から、思いがけない事実が突き付けられました。

「すみません、甥子様のご質問から外れますが、どうも弊社の取引総額が甥っ子様の認識と違っていると思うのですが」という話です。

!? さっぱり意味がわかりません!!

「どういう事ですか?」と尋ねると「弊社と叔母様の取引残は250万円どころではありませんよ。500万円近く残っています。」それを聞いて驚くとともに叔母への不信感が湧き上がってきました・・・。


そして、またもや担当者から予想外の話が・・・

その後担当者から驚くべく話がありました。
「甥子様は叔母様の事を心配されておられて、叔母様のためにこれだけ色々動かれて、本当に感心しました」

「弊社の立場で言ってはいけない話ですが・・・、もし今回今の状況を解決されたとしても、私の経験から言って叔母様はまた同じ事を繰り返されると思います。」ただ「叔母様が二度と購入出来なくする方法があります。」

「それは自己破産をすることです」

・・・・・

「自己破産すると信販の審査が通らないので、割賦で買う事は二度と出来ません。ましてや失礼ながら年齢も75歳で、借家住まいで資産が無いのであれば、自己破産で失うものはないはずです」

「しかし自己破産されると、弊社が多額の負債を被ることになるので、私が言った事は内緒にしておいてください」

信販会社からこんな話があるとは予想していませんでした。私自身、最悪の場合は自己破産もやむなしと考えていましたがまさか債権者から勧告があるとは思ってもいませんでした。

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自己破産を決断

信販会社で650万円、消費者金融の借金を含めると1000万円近い負債があることを知り、私は安易には選択したくはなかった方法ですが、自己破産しか解決方法は無いと判断し、叔母と従妹に自己破産を進める話をしました。

ところが叔母は自己破産すると近所の人から犯罪者の様な目で見られたり、選挙権が無くなる(※1)とか間違った認識をしており、納得するまで2か月ほど掛かりました。
その後弁護士を通じてつつがなく手続きが進み無事免責を得ることが出来ました。

(※1)自己破産で選挙権を剥奪される事はありません、自己破産を行い処分する財産がある場合などは、郵便物が破産管財人に送られたり、旅行や転居などは裁判所の許可なく行えない、などの制限が発生しますが、手続きが完了すればその制限も解除されます。 同じ様に、手続きが完了するまでは就業できな職業などもあります。
(例)弁護士・税理士・公認会計士・宅地建物取引業・損害保険代理店・証券会社外交員 等です。


今回の事を経験し思う事・・・

オレオレ詐欺振り込め詐欺)を始めとする高齢者向けの詐欺は社会問題にもなり、様々な対策も講じられてきましたが、問題は今回の様な合法的詐欺ともいえる商法です。

叔母をターゲットにしたこの「次々商法」は手口が巧妙で、しかもすべて合法で行われているのでたちが悪いのです。違った業者の様に見えてすべて同じグループで計画的にやっています。
オレオレ詐欺(振り込め詐欺)の様に短期間で大金を巻き上げるのではなく、ゆっくり時間をかけて、怪しまれずに様々な商品を法外な価格で購入させていきます。
本人にも割賦販売で月々の返済は少額なので大きな借金をした感覚がありません。

中にはおそらく現在も〝騙されていると気付いていない”ご高齢者の方も沢山いらっしゃるのではないかと思います。

それと今回のポイントは近所の知人の紹介という事です。
叔母も誰でも気を許すわけではなく、「古くからの近所の知人の紹介」だったからこそ信頼したのです。おそらくその知人も被害者の一人だと思います。

今回は自己破産という形で決着しましたが、認識違いや知識不足で自己破産されない方もいらっしゃいますし、資産を保有していて簡単に自己破産できないケースも多くあります。

現在我が国では、1500億円と言われる個人資産の60%が高齢者(65歳以上)資産と言われています。
これからも合法・非合法問わず様々な手口で高齢者を狙った商法が後を絶たないのは火を見るよりも明らかでしょう。

ご家族がご実家に帰られた際に気を付けて頂きたい事は、「何か変わった物(あまり使用しない物。高額な物)を購入していないか」「何かいつもと生活パターンが変わっていないか」等、家族が早く気付いてあげる事がとても重要です。 本人がだまされていると気づかず、SOSを出さないので被害が大きくなってしまう事が多いと思います。

「昼間高齢者が独りで住んでる」「強引に勧めれば買ってくれる」などという情報は、悪徳商法業者は情報を共有している場合が多く、今回のケースのように、会社名を変えて別の商品を売りつける場合もあれば、同じような悪質業者間でターゲットのリストを共有しており、一度でもそのような業者が来た場合、「毅然とした態度で断る」という勇気をもって頂きたいと思います。


独立行政法人 国民生活センターによると 「次々商法」「次々販売」と言われる悪質商法のターゲットは、高齢者と20代の若者が多く、高齢者の場合は寝具などの訪問販売、20代の若者にはエステ関係商品の店舗販売が多いようです。

訪問販売などの場合、法定書面を受け取った日から8日間はクーリングオフができます。ただ「次々商法」「次々販売」の場合、直近のもので法定書面を受け取った日が8日以内となりますので、もし可能であればクーリングオフの手続きを行ってください。
特定商取引法では、訪問販売と電話勧誘販売で「はっきり断った消費者」への再勧誘を禁止していますので、その点をしっかりと覚えておいてください。

(注)自己破産を行い、債権差し押さえが禁止されているものは
・生活保護給付
・年金
・小規模企業共済受給権
・中小企業退職金共済受給権
があります。

出典:独立行政法人 国民生活センター

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記事 株式会社代表取締役 植田秀一

植田 秀一
株式会社エイジプラス代表取締役 10年以上の紹介会社運営実績があり、全国の老人ホームのコンサルティングなども手掛ける。
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