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老人ホーム内で高齢夫婦が無理心中か【クロスハート湘南台・藤沢】

高齢者施設内での無理心中。在宅介護における無理心中というのは、ここ数年比較的メディアに取り上げられる内容ですが、今回の事件は老人ホーム内での無理心中と思われる事件が発覚したと、各ニュースメディアが伝えています

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80代の夫婦、夫が妻を・・・

NHKニュースやYAHOO!ニュースが伝えるところによると、事件が起きたのは2016年5月14日、以前このシニアライフ徒然草でも紹介した事のある、有料老人ホーム「クロスハート湘南台2番館」の運営を手掛ける社会福祉法人伸こう福祉会の運営する「クロスハート湘南台・藤沢」です。

14日午前5時ごろ、80代の入居者夫婦が倒れていると消防に通報があり、妻には首に絞められた跡があり、夫は手首に複数の切り傷があったようです。その後妻の死亡が確認され、夫からは「妻は車椅子生活で、自分が面倒を見ていた」と言っているという事で、警察は無理心中をしたとして、調べているとの事です。


運営事業者の「社会福祉法人 伸こう福祉会」

クロスハート湘南台・藤沢」を運営するのは、社会福祉法人伸こう福祉会
伸こう福祉会は、神奈川県で有料老人ホームの他、特別養護老人ホームや、地域包括支援センターの受託、小規模多機能施設、居宅支援事業、訪問介護、訪問看護事業など、多岐に渡り介護系事業や、保育園運営などの事業も展開しています。
1970年代には保育園事業を手掛け、1980年代には、現ベネッセスタイルケアが運営するグラニーシリーズの前身になる高齢者施設の開設など、介護業界では歴史のある運営事業者です。

前述のベネッセスタイルケアは勿論、昨年話題が多かった、ワタミの介護事業など、大手老人ホーム運営事業者が介護事業に参入する際に、歴史と経験のある「伸こう福祉会」のコンサルを受けるなど、業界大手事業者にも絶大な信頼を得ている社会福祉法人です。


介護を苦にした無理心中

冒頭でも書きましたが、介護を苦にした無理心中というのは、通常在宅介護において、生活苦による無理心中を行うケースが多いのですが、今回は有料老人ホーム、それも介護付有料老人ホームの中でも、経験と実績のあり介護業界でも知名度の高い社会福祉法人グループで、今回のような事件が起きました。

一般的には、老人ホームに入居する事で、御家族は直接の介護から解放され、喜ばれるケースが一般的なのですが、では今回いったい何があったのでしょう。

詳しくは、警察の捜査が進むと思いますが、現時点で考えられる可能性を想定して、以下はお話しします。


ご夫婦で入居する時の落とし穴

老人ホームにご入居されるケースでは、ご夫婦のうちのどちらかが要介護状態となり、御家族が在宅介護で問題を抱えたり、困りごとを抱えた場合に、要介護状態になられた方がお1人で老人ホームにご入居されるケースが多いのですが、中にはご夫婦で離れて暮らしたくない、一緒に同じお部屋で老人ホームに入りたいというご要望の方も多く、そのような場合老人ホームにご夫婦でご入居されます。


個別にご入居されるのか、ご夫婦で広めの2人部屋に入るのか

介護付有料老人ホームの場合、多くは一部屋18㎡前後の広さで、トイレ、洗面、収納、ベッドスペースがあり、お風呂については共用設備をご利用頂く、とうスペックの有料老人ホームが多いのですが、中にはご夫婦部屋(2人部屋)の設定がある有料老人ホームもあります。

ご夫婦入居の場合2パターンあり、18㎡の個室をご夫婦お一人ずつご契約をされ(例えば隣同士のお部屋)日中はどちらかのお部屋で、ご一緒に過ごされて、夜間の就寝時には、個々のご自身のお部屋でお休みになられる生活スタイルでご入居されるケース。
そしてもう一つは、ご夫婦部屋にお二人でご入居されるケースになります。

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ご夫婦で老人ホームに入居したにもかかわらず

ニュースの中で、夫が「自分が妻の身の回りの世話を・・・」というコメントがあるという事から考えると、(注:ここからは全て私の想像です)
今回のご夫婦が「クロスハート湘南台・藤沢」のご夫婦部屋にご入居されていた、と仮定した場合、想定の中で合点のいく点があります。

もし、そのご夫婦がとても仲が良く、介護付有料老人ホームに入居していたとしても、愛する妻の身の回りの事で、自分が出来る事はご主人が「やってあげたい」「自分がやらないと妻が嫌がる」などの理由から、老人ホームの介護スタッフには、入浴の介助や排泄の介助などの、力がいるような介助はスタッフに任せていたとしても、夜間のトイレ誘導や、食事の際の介助や、他の細々とした身の回りのお世話は、老人ホームの介護スタッフには任せず、ご主人が行っていたとしたら・・・。

実はこのパターンが、落とし穴です。 せっかく老人ホームに入居をして、在宅介護から解放されたとしても、老人ホームの夫婦部屋に入居すると、大きなリスクは感じないものの、結局在宅生活をしていた時と同様に、声が掛けやすい距離に身内が居ると、普段の生活と同じように、あれやこれやと細々とした事を家族に気軽に頼んでしまいます。

そうなってしまうと、結局は老人ホームに入っても、身の回りのお世話をしている方は気が休まらず、ドンドン追い込まれていってしまいます。

今回の「クロスハート湘南台・藤沢」での事件が、このパターンであるなら、事件が起こった事については、施設側にもその兆候を見抜けなかったという部分での責任があるのかもしれません。

夫が普段、老人ホームの中で妻の面倒を見ている、という光景が施設内のスタッフの中で当たり前になっていたとしたら・・・
それは厳しい言葉で言えば、プロ意識の低下、ケアスタッフとしての責任を果たしていないと言わざるおえないのではないかと思います。

日頃から、このご夫婦とのコミュニケーションがしっかりと取れていれば、夫の精神的、肉体的変化に気付く事が出来たハズです。


入居者の精神的・肉体的ハンデをケアするのが本来の介護ではないでしょうか

足らない所は介護サービスを利用する事で、健常者と同様に生活をする。その為に介護保険を使い、または自費で費用を支払っている。

介護施設内で起きる事件・事故は、本来ご入居者や利用者の方と、日頃よりシッカリとコミュニケーションが取れていれば、小さな問題に気づき、対応する事で大きな問題に発展しないと思っています。これは介護施設だけでは無く、普通にどんな企業でも当たり前の事です。常に問題意識を持つ事で、小さな異常に気付き対応する事で、問題が大きくなる前に解決できるはずです。

これを怠っている介護事業運営会社は、往々に問題が生じ、暴言虐待というところに繋がっていきます。そこに被せるように、現場のスタッフの責任にして企業としてキチンと問題に向き合わず、リスク回避をしようとすると、更に問題が大きくなります。


今後の展開に注目する必要があります

老人ホームなどの高齢者施設を、一般の方が評価する場合、多くの方は、過去の事件や事故を引っ張り出し、「あそこは以前虐待事件などの問題があったところだという評価基準で判断されえるケースが多いのです。

正直、老人ホームや介護施設内では、規模の大小にかかわらず、何も問題が起こらないという事が無いのが現状です。言い換えると、何も起こらない方がおかしいという事です。これは多くの人が集団で生活をしている中で、なにかしら小さなトラブルや、小さな事件が起こるのはどうしても避けられないという事です。

それれを踏まえた上で今回の事件は、運営事業者の「伸こう福祉会」がどのようにこの問題に向き合い、今後の対応を行って、それをどのようなタイミング・手法で世間にしっかりとアナウンスするのか、という事に注目していきたいと思います。
介護事業者の本当の良し悪しは、こういった問題が起こった際の対応で、大きく別れてきます。この記事をお読みの皆様にはご参考にして頂ければと存じます。

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田中 宏信
「関東有料老人ホーム紹介ンター」を運営する(株)エイジプラス東京支社 支社長。自身の両親の介護経験を活かし、同じように在宅介護でお悩みをお持ちのご相談者向けに、老人ホーム選びのアドバイスやセミナーなども行っています。
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