シニアライフ徒然草

速報 最高裁判決 認知症患者監督責任事故 JR敗訴!!

最高裁判所は2016年3月1日、2016年2月2日に高等弁論が行われた裁判について、家族の責任を認めず、一審、二審の結果を退けJRが逆転敗訴した


JRが敗訴!!

2月4日の記事でもお伝えした通り、2007年愛知県大府市に住む当時91歳の認知症の男性が、当時85歳の妻がうたた寝をしている間に屋外へ徘徊。その後誤ってJR線路内に立ち入り、JR東海の列車に轢かれる事故があった。
一審の名古屋地方裁判所では、妻と息子に720万円の支払いを命じる判決が下された。 家族側の控訴により二審の名古屋高等裁判所では、高齢の妻のみに360万円の損害賠培養金を支払う判決が下されたが、JR側、家族側双方がこの結果に納得せず、最高裁に上告された。
2016年2月2日最高裁判所で口頭弁論が行われた結果、本日2016年3月1日、最高裁でJR側逆転敗訴の結審が下された。


【追記】この判決結果に様々な考え方があると思う

このご家庭では、元々介護をされていた奥さんも要介護1の認定をうけていたと言います。
老老介護、まして介護する側も、介護される側も、介護認定を受けている高齢者夫婦世帯は少なくありません。そのような家庭で満足できる介護を家族が提供するのは非常に難しいのは火を見るより明らかです。
しかし政府は「一億総活躍社会」を提言していますが、このような家庭で満足のいく介護を提供しようとすると、離れて暮らす息子娘世帯のご家族が、介護離職をしたり、遠距離介護をする、もしくは介護施設に要介護の家族を入居させるしか、このような問題を解決する方法はなかなか見つかりません。

最高裁の判決を受けて、認知症の家族をもつ人たちは安堵したかもしれません、しかしながら事故を受けた鉄道会社が損害を被ったことは紛れもない事実です。
今回JRの事故でしたが、これが私鉄であればどうでしょう。地方の小さな私鉄路線でもしこのような事故が頻発すれば、鉄道会社のダメージは経営を左右する、計り知れないほどの経済的打撃を鉄道会社に与える可能性もあります。そうなればその鉄道を利用する地域社会に様々な影響を及ぼすこともあります。

正直この判決結果を知り、現在進行形で介護に直面している人たちにとっては、「当然だ」「介護弱者にとって当たり前だ」「最高裁は正しい判断をした」と声をあげる人も少なくありません。
実際私自身も、少なからずそのように思った部分もあります。

しかしながらそれだけでは今後、日本の未来に対して何ら解決にはなっていないのも事実です。
「介護を必要としている人たち、そして支える家族」の事を一部の人達だけではなく、国や国民すべての人達でこの問題について、意識を持ち、考え、よりよい環境を作る必要があります。
今回敗訴した鉄道会社に果たして問題や過失があったのか、今回の裁判結果を聞いた多くの人達に意識があったでしょうか。結果だけをみると今回JR側は通常運行している鉄道路線に人が立ち入り、事故が起きたという事です。普通に考えれば自動車事故の「もらい事故」のようなものではないでしょうか。
それが証拠に、通常線路内立ち入り事故があった際には、間違いなく家族に損害賠償請求が発生します。
線路内の人の立ち入りを防ぐ義務という事につては、100%防ぐことは現実的には不可能です。日本の鉄道路線の全てを高架橋にすること、全ての駅のホームに人の立ち入りを防ぐ安全柵を設置する事、全鉄道会社に莫大な資金があれば可能かもしれませんが、そのような施策を行うには、鉄道利用者の運賃の大幅な値上げなどの手段が必要になるでしょう。


企業も人も守れる社会構造が必要

私たちが日頃、介護に関わる仕事をしていると、日本の介護問題について、よく世間や周囲から、「そんな事も国がしてくれないのか」「それは国がもっと介護問題についてちゃんとするべきだ」という風な事を言われる方がいらっしゃいます。
その様々な事に国が主導で関わるには、大きな財源の確保が必要になり、官僚主導の施策になることは明らかです。

介護人材不足の問題が毎日のようにニュースで流れています、介護施設の虐待問題についてもメディアで流れます。人材不足が引き起こす様々な問題、では介護職の人材が不足しているのか?それは給与水準の低さが大きな壁になっていると言えます。3Kと言われるほど介護職の仕事は厳しい、しかしながら給与水準は他の業種と比較すると圧倒的に低い、現在介護保険料を支払っているのは、40歳以上の国民です。将来の年金問題などもありますが、目の前の問題として、日本の介護を支える人材の財源の軸を支払っているのは、全ての社会人ではなく、40歳以上の人達だけで介護保険料を賄っているのです。

普通に考えれば、給与水準が低いのも頷けます。最近では診療報酬が減算され、訪問診療を行っていたクリニックが大幅に減少しました。 このように現実では、介護・在宅医療の世界は、非常に厳しい財政問題があります。この事を介護・在宅医療に関わっていない人たちがどれくらい知っているでしょう。 今は家族の介護に直面していなくても、いずれ自身が年齢を重ねればどこかのタイミングで直面する事になるのです。

そして企業においても、介護について向き合う事が介護離職を低減させることにもつながり、バリアフリーといわれる住宅があるのと同様、高齢者の目線に合わせたBtoCビジネスのサービスが提供できる社会を「国」「企業」「人」の三位一体で作ることが早急に求められるべきだと思っています。

田中 宏信
「関東有料老人ホーム紹介ンター」を運営する(株)エイジプラス東京支社 支社長。自身の両親の介護経験を活かし、同じように在宅介護でお悩みをお持ちのご相談者向けに、老人ホーム選びのアドバイスやセミナーなども行っています。