シニアライフ徒然草

無届老人ホーム(無届介護施設)問題について

2000年からスタートした公的介護保険制度、昨今ニュースを賑わしてる虐待問題と同様に大きな社会問題となっている無届介護施設(無届老人ホーム)問題があります。行政に届出が出されていない故に、実態把握が難しく様々な問題を抱える反面、無届介護施設に入居する人も増えています。


なぜ無届老人ホームに入居するのか

昨夜(2015年12月6日)NHKスペシャルの番組で、無届介護ハウス(無届老人ホーム)特集が組まれていました。
NHKの番組調査では、確認できただけで1941件の無届ホームが確認されています。
番組で取材を受けていたのは、名古屋市にある無届ホーム、月額の費用は10万円程度。 もちろん、訪問介護の報酬を得ているので、介護保険から約20万円程度の報酬を得ています。
一般の老人ホームとは異なり、場所によっては個室ではないところもあります。 2年前にご入居された方へのインタビューでは、「だんだん身体も弱ってしたし、行くところもないので」とのコメント。
旦那さんは元々公務員で、2人で月に24万円ほどの年金暮らしをしていらっしゃったが、ご主人が認知症を患い入院、ほぼ寝たきりの状態だ。現在特養への入居を希望しているが、5年の待機と言われている。
年金からご主人の医療費を差し引くと月に14万円程度しか残らない。
14万円で全ての生活をまかなう事が難しく、こちらの無届ホームに入居を決めたそうだ。


在宅復帰加算などの制度が病院からの退院を加速させる

介護施設に入居が資金的にも難しい場合、多くの人は在宅介護サービスを利用しますが、核家族化や単身世帯の増加により、在宅介護では対応できないケースも増えてきています。
実際に番組内でも、病院からでも無届ホームへの退院後の移り先として退院先の依頼があると伝えられていました。

医療費を抑制しようとする国の制度、例えば医療保険の在宅復帰加算などの制度が、無届ホームの増加に拍車をかけている、根本的な理由を国や地方自治体がどれだけ理解しているのだろうか。


介護保険の自己負担割合、介護人材不足、国の施策に反して解決すべき問題は山積

年金受給者の年金額は減額される事はあっても増える事はなく、また収入が高い高齢者(平成27年8月施行、厚生労働省発表 一定以上所得者の負担割合の見直し)合計所得金額160万円以上の人(単身で年金収入のみの場合、280万円以上)は介護保険の自己負担割合は1割から2割に増えました。圧倒的に高額な収入がある場合問題はないのですが、例えばギリギリその基準を超えてしまう方も2割の自己負担となり、言うまでもなく家計を圧迫する要因になっています。

安倍政権が発表した2020年までに50万人の受け入れ介護施設を増やすという国の施策は、根本的な問題解決にはならないと番組はみていました。
それは働き手である人材不足の問題、国が人材不足を解消しようとする動きをみせても、介護職の人材が増える事はありません。
無届ホームの問題点は、行政が立ち入り検査を行わないために、必要設備の設置がなされていない、なので様々な問題や事件、事故が起きてしまう。 スプリンクラーが設置されていないために、火災が起きた時の被害は甚大になります。
有名な事件事故では、数年前に起こった群馬県の無届ホームで起こった火災事故などは、いまだに記憶として残っていますが、昨年も愛知県で同様の事件が起きています。


実態が把握できない無届ホーム

では何故無届老人ホームには、行政が立ち入り検査を行わないのか。
通常の老人ホームとして届け出がでていれば、届け出に基づいて様々な指導は行えます。しかしながら、無届ホームの場合はまず何処に無届ホームがあるのかわからない、地域の包括支援センターなどから、無届ホームの実態を把握の依頼を受けても、それでも自治体が把握し辛い状況になっている。言い換えれば不適切な運営自体があったとしても実態が見えないという事です。
例えば、夜間のみ守りが無い介護施設という状態であれば、夜間帯は職員が0であり、様々なリスクに対する担保が無いという事になります。

NHKの番組の中では、明らかに問題のある無届ホームの実態も取材されていました。

無届ホーム問題は簡単には解決できない理由が多くあります。
国は各自治体に無届ホームに届け出を提出させる。しかし届出は提出すればよいというものではなく、老人ホームの設置基準に基づいた建物設備や、人員、その他のルールに沿っていなければなりません。
もちろん、その基準に合わせるには、工事費など高額な費用が必要になり、それは結果的にホームに入居している人達の利用料に跳ね返ってきます。


そもそも無届ホームになぜ入居するのか、
ほとんどの場合、費用面での問題があるからです。
在宅介護ができない、年金が少ない、特養には入れない、などの問題が重なり、一般の有料老人ホームに入りたくても入れない人たちが無届ホームに入居をします。


昨今増えてきた低価格の届け出済み老人ホームや高齢者向け住宅

有料老人ホームの紹介センターを運営する私たちが、普段ご紹介している有料老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅の中には、ここ数年の間に低価格でリーズナブルなホームも沢山増えてきました。
入居時費用0円、月額10万円~15万円(介護保険の自己負担別途)、という費用のこれらの老人ホームや、サ高住は行政への届け出がされています。
もちろん、東京都内23区や、横浜市内などの場所では家賃代金が高くなりますので、郊外のホームにはなりますが、一昔前に比べると高齢者施設の企業努力により、低価格のホームが増えてきています。

これからの高齢者施設選びは、国の施策により多種多様化してきています、在宅介護を推し進める地域包括ケアシステムの確立、定期巡回訪問介護、サ高住施設の特定施設入居者介護の指定なが行われております。
最近ではサ高住や低価格の有料老人ホームが、生活保護を受給している方の受け入れも行っているホームもありますので、ぜひ私どもにお問い合わせ頂きたいと思います。
益々増える無届ホーム、見方によっては必要悪と言われる場合もありますが、そもそもの原因は、2000年から始まった介護保険制度が15年経過しても未だ脆弱な制度だという事ではないでしょうか。

記事 関東有料老人ホーム紹介センター 田中

出典 NHKスペシャル 調査報告 介護危機 急増“無届け介護ハウス”

出典 厚生労働省資料 一定以上所得者の負担割合の見直しについて

田中 宏信
「関東有料老人ホーム紹介ンター」を運営する(株)エイジプラス東京支社 支社長。自身の両親の介護経験を活かし、同じように在宅介護でお悩みをお持ちのご相談者向けに、老人ホーム選びのアドバイスやセミナーなども行っています。
関東有料老人ホーム紹介センター 10:00〜17:00 ※土日祝は休み 北海道・東北・関東エリア 0120-605-419【通話料無料】