シニアライフ徒然草

お母さま一人で介護されていた息子さんからのご相談

一人息子の方がお母さまの在宅介護を続け生活困難に陥る、という実は介護をされている方にとっては他人事では無くだれしもその危険性をはらんでいるご相談、生活保護の受給から施設へのご入居までの長い道のりのご相談です


徘徊行動のあるお母様のご相談

数年前のとあるウイークデーにそのご相談を承りました。
その方は30代半ばの男性、お母様がご入居できる老人ホームをお探しとの事。 お母様は70代前半、認知症がありADL(※1)も少し低下しており、食事の際に少し見守りが必要との事。
認知症の症状は2年ほど前からでており、ご相談を頂いた際には徘徊などの症状もみられ、目が離せないような状態であるとのことでした。
お母さまの介護度は要介護2の認定をうけておられるとの事でした。
ここまでは、私達に頂戴するご相談の中でも多い内容なのですが、そのご家庭には少し問題が起きていました。

※1)ADL:(activities of daily livingの略)日常生活動作といい、食事や排尿、排便、入浴など日常の普段の生活動作を指します。


お母さまの年金のみの収入で息子さんが在宅介護

30代の息子さんとお母様の二人暮らしのそのご家庭では、お母様の徘徊行動が見られるようになり、それまでは日中お仕事をされていた息子さんなのですが、家を空けられなくなってしまいました。
息子さんは、それまで勤めておられていたお仕事を退職されて、お母様の介護を続けておられました。
収入はお母様の少ない年金のみ。当初息子さんはお仕事をされていたので、その収入とお母様の年金を合わせてやりくりをされていたのですが、息子さんがお仕事をやめられてからは預貯金を切り崩し、生活費に充てていたようです。
しかし、その生活も長くは続かず・・・


低所得介護家庭に膨らむ借入

お母さまの在宅介護を続けながら、デイサービスを利用しお母様がデイサービスに行っている間に息子さんは、その数時間だけでもと短期のアルバイトをされて不安定ながらも、少ない収入を得ておられました。
しかしそれも週に2度ほどしかアルバイトが出来ない為、収入が沢山あるわけでもなく、いつの日からかキャッシングカードからの借入が膨らんでいったようです。

ご相談をお受けした時には既に複数社の金融会社からの借り入れが膨らみ、他社から借りては別の会社に支払うという、悪循環に陥っておられました。
そこで私にご相談を頂いたのですが、ご相談内容は老人ホームへの入居時に支払う費用は0円、毎月支払う費用もできれば10万円以内、というご相談でございました。


生活保護申請を断られる・・・

私が最初そのご相談を受けた際に、お話しをさせて頂いたのは、生活保護の申請手続きです。
しかし息子さんから返ってきた返答は・・・
実は既に生活保護の申請をしようと、息子さんがお住まいの地域にある福祉事務所の生活保護窓口にご相談をされたそうです。
息子さんからすれば、このままでは借金がかさみ、それこそ介護を苦にした無理心中をしなかればならない、そんな悲壮な思いでご相談に行かれたそうなのですが、窓口の担当者から告げられた言葉は、「息子さんはまだ30代、働こうと思えばいくらでも働けますよね、もしかしてお仕事を選ばれていませんか?そのような方には生活保護申請を受け付ける事はできません。」という返答だったそうです。

たしかに昨今、生活保護費の不正受給など問題視されています。ただし家族が働ける年齢なのだから、もう少し社会資源を利用して、働いたらどうですか、という通り一辺倒の回答には若干の疑問を感じます。
もちろん中には、社会資源を上手に利用し在宅介護をされているご家庭も沢山あります。
しかしながら既に生活困窮に陥っているご相談ので、もう少し生活内容、収入、借財などをしっかりと確認して頂きたいな、と私個人は思ったりもしました。

生活保護を受給するにはいくつかの条件などがあります。
今すぐなにかしらの資金が無いと生活ができない、生命の危険があるなど、預金やその他の財産なども生活費に充当できるものが無いなどの方に、何度かの個別面談訪問などの手続きを踏まえ、受給の可否を判断され、受給条件に当てはまらなければ保護申請の却下通知が送られてきます。


低価格な施設探しがスタート

とは言え、息子さんのご相談は緊急を要する内容でもあり、再度現状の生活をしっかりと嘘偽りなく説明し、生活保護受給申請をして頂くのと同時に、他府県でも構わないのでできるだけ安い施設を探してほしい。
とのご依頼に応えるべく、ご相談を承りました。
その際にもし入居先に希望が見えた場合に、当初の月々の支払をどうするのか、という重要な部分については、最初の2カ月分程度の月額費用は何とか工面をする、これは知人からの借り入れを考えておられたそうです。
それ以降については、日当でもいいので少しでも収入を得られる仕事をしながら、月々の費用の支払いと、自分の借財の返済に充てるので本当に何とかしてほしいとの事でした。
今後のご相談については、電話でのやり取りをさせて頂きたいので、連絡のつく電話番号を教えてほしいと申し出たところ、自宅の電話については電話料金の支払いが遅れたりしており、繋がらない事も多く、携帯は持っているが基本的には着信には出ないので、留守番電話にメッセージを残してくれれば、こちらから折り返し連絡をするとの事でした。
後でお聞きしたところカード会社などから支払催促の電話が掛かってくるので、着信には出ない、との仰っておられたので、本当に厳しい状況にまで追い込まれつつあると感じました。


施設見学に至るまで

何度か息子さんとやり取りのあと、お住まいの地域から離れた場所(かなり離れていましたが)であれば、何とか低予算でも入居が可能なところ、もしくは生活保護が受給できれば入居ができそうな施設をご紹介いたしました。

見学に行きたいとのお話しだったので、少し遠くなりますが大丈夫ですか?との私からの質問に対し、
施設まで見学に行く交通費(当時片道2000円程度)が無いので原付バイクで行きます、ただいつ行けるかわからない、いつ行けるか今この時点では約束が出来ないとのご返事。
困り果てたは私は施設の担当者の方にも、その方の状況を説明しておりましたので、再度担当者の方に連絡をさせて頂き、相談者の息子さんの許可を得た上で、施設担当者にその方から直接担当者に連絡をして頂き、当日急になるかもしれないが何とか見学の対応をして頂きたい。とこちらからのお願いを聞いて頂く事ができたおかげで、その2週間後に息子さんが見学に行かれる事が出来ました。

しかしその見学した後、数日が経過した頃に息子さんから急に連絡が入り、なんとか福祉事務所の窓口の方に相談して、生活保護の受給ができそうだ、との連絡が入りました。なので特別養護老人ホームに入居を検討したい、そちらの方が近くて安心だから。と、一旦私へのご相談はストップしてほしいと意思表示をされてきました。

現在でももそうなのですが、当時から特別養護老人ホームの入居待機者は全国で数十万人の規模に及び、介護度のが重く重度の方や、生活困窮弱者の方が優先的に入所されるので、直ぐに入居できればいいのですが、もしそうならなかった場合の事も考えて並行して話を進められた方が良いとアドバスをさせて頂きました。


突然連絡が取れなくなった息子さん

そんなやり取りから数週間、息子さんとの連絡が取れなくなりました。

教えて頂いた連絡先の番号にお電話を何度かさせて頂き、留守番電へメッセージを残すも折り返しのご連絡が頂けず、お手紙もお送りしましたが音信不通・・・

そして数か月が過ぎた頃、「やはりいつまで待っても特別養護老人ホームへ入居が出来そうにもない、今も不定期でアルバイトを続けているが、睡眠不足などで体調も芳しくないので、すぐに前に検討していた施設に入居ができないか」
と息子さんからご連絡が入りました。

私は直ぐに、以前検討してご相談をさせて頂いていた施設の担当者さんに連絡を取り、このような状況なので、何とか早急に受け入れ出来ないだろうかとご相談をそせて頂いたところ、担当者の方も状況をご理解頂き、直ぐにお母様へ面談、入居に関する書類の手配のアドバイスを私と一緒になって、息子さんへご連絡頂き結果的にはその2週間後にそちらの施設に一旦ご入居する事ができました。

最終的にはそちらの施設へ一旦入居し、特別養護老人ホームの入居待機という形をとられ、将来的には特養への入居を前提にしたご入居でした。
その後、息子さんからご連絡を頂いた際には、何とか仕事も見つかりまだまだ生活は苦しいけれど、カード会社からの借り入れは任意整理などの手続きを行って、何とか生活が出来るようになったとの報告を受け、私もほっと胸をなで下ろしたという、今となってはそのお母様も大変だったし、息子さんにとっても、本当はそこまで苦しくなる前に、特に息子さんがまだお仕事をされていた段階でご相談を頂ければ、もう少し違う選択肢もあっただろうし、そこまで生活が困窮しなかったのではないかと、自身が自問自答する機会になったご相談でございます。


悩み苦しむ前にご相談される事が大切です

介護が原因で生活困窮に陥る、そして最悪の場合は介護を苦にした心中など、今介護をしている方々にとっては、とても胸の痛いそして他人事では済まされない事件事故の問題が数多くあります。
当然ながらお金の問題がつきまといます、そして社会資源などの知識がなければご自身で何とかしようとしてしまって、結局無理がきかない状況まで追いつめられる・・・
私たちはこのお仕事を通じて様々なご相談を日々受けています。
だからこそ感じる事は、ほんの少し介護の問題が家庭内に起きた時には、できればすぐに、出来るだけ早く色々とご相談をされる事が大切だと思っています。
ご相談されるのは、介護認定を受けた際に身近におれらるケアマネジャーさんや、私達のような相談窓口、そんな所にご相談をされるだけでも、なにかしらの対応方法や老人ホームなどの利用、色々なアドバイスをさせていただけるのではないかと日々感じています。
もし今、御家族の介護でお困りの事があれば是非ご相談される事をお勧め致します。

記事 関東有料老人ホーム紹介センター 田中

田中 宏信
「関東有料老人ホーム紹介ンター」を運営する(株)エイジプラス東京支社 支社長。自身の両親の介護経験を活かし、同じように在宅介護でお悩みをお持ちのご相談者向けに、老人ホーム選びのアドバイスやセミナーなども行っています。

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